シミや美白について書かれた記事を読むと必ず出てくるのが「メラノサイト」という言葉ですね。
シミ対策の効果を上げるには、メラノサイトとはどんなもので、シミとどういう関係があるのかを知っておくことが大切です。
目次
メラノサイトって何?
メラニン色素がシミの正体であることはよく知られていますが、メラノサイトとは何でしょうか?
メラニンを作る細胞
メラノサイトは表皮のいちばん下の部分にある、メラニン色素を作る細胞です。
いちばん下といっても表皮は厚さわずか0.2mm前後、キッチンのラップフィルムくらいの厚さの薄い膜です。
表皮は、外側から角層、顆粒層、有棘(ゆうきょく)層、基底層の4層構造になっています。
メラノサイトはこの基底層にあって、メラニンを作って表皮細胞に配給する役目をしています。
基底層の細胞36個に1個の割合でメラノサイトが分布していると言われています。
メラニンは肌に悪いもの?
メラニンは肌の色を黒くし、シミの原因にもなるため悪者扱いされやすいのですが、実は紫外線の害から肌を守る大切な役目をしています。
紫外線が表皮を通りぬけて真皮層や皮下組織まで届くと、細胞にダメージを与えます。
それを防ぐために、メラニンは表皮のいちばん表面である角層で、紫外線を吸収するのです。
日光に長時間あたっていると日焼けするのは、紫外線の害から体を守るためにメラノサイトの活動が活発になり、メラニンを大量に生産して表皮層に放出するためです。
メラニンを作り出す仕組みは?
肌に紫外線に当たると、「活性酸素」が発生します。
活性酸素の刺激を受けると、メラノサイトでは「チロシナーゼ」という酵素の作用が活発になり、「チロシン」というアミノ酸の1種が黒褐色のメラニン色素に変化します。
メラノサイトで作られたメラニンは、一定量に達すると表皮細胞に放出され、紫外線を吸収する役割を果します。
メラノサイトが活性化するとどうなる?
メラノサイトが活性化するとメラニンの生産量が増えて、それがどんどん表皮細胞に供給され続けることになります。
メラノサイトが活性化する原因は?
メラノサイトが活性化する主な原因は紫外線です。
メラニンを作る本来の目的からも、これは当然ですね。
しかし乾燥や肌荒れによるバリア機能の低下、かきむしる、こするなどの物理的な刺激も、メラノサイトを活性化させることがあります。
肌が荒れたときにメラノサイトが活性化しても、作られたメラニンは役に立ちません。
しかしこれらの刺激が1種の誤情報になって、メラノサイトを活性化させてしまうのです。
シミ・日焼けの原因に
紫外線や摩擦などの刺激を受けてメラノサイトが活性化すると、大量のメラニンが作られて、日焼けやシミになります。
またニキビや吹き出物が治った後に茶色い跡が残ったり、肌荒れを起こした肌がくすんで見えるのも、外部からの刺激によってメラノサイトが活性化したことが原因です。
乾燥や肌荒れ自体も肌にとっては刺激となりますが、こうしたバリア機能が弱った肌は紫外線などの刺激を受けやすくなるため、余計にメラノサイトが活性化しやすくなります。
<関連記事>:日焼け止めの効果的な塗り方は?美白をあきらめない!
ターンオーバーが乱れると?
メラノサイトから表皮細胞にばらまかれたメラニンは、ターンオーバーによって通常は1ヶ月程度で排出されます。
メラニン色素を含んだ表皮細胞は、基底層→有棘層→顆粒層→角層と平べったく形を変えながら表皮の上層に押し上げられて、やがて垢となってはがれ落ちます。
これがターンオーバーで、通常は4週間のサイクルでくり返されます。
ターンオーバーによってメラニンが排出されると肌は白さを取り戻しますが、何かの原因でターンオーバーが乱れると、メラニン色素が沈着してシミが残ることになります。
作られた色素が排出されないだけでなく、トラブルのある部分ではメラノサイトへの刺激がくり返され、メラニンが作り続けられるため、シミが中々消えなくなってしまいます。。
メラニンの蓄積を防ぐには?
メラニンの蓄積を防ぐには、メラノサイトを活性化させないことと、ターンオーバーを正常にすることが重要です。
強い刺激を避ける
メラノサイトを活性化させないためには、紫外線対策を充分に行なうことが重要ですが、紫外線以外の刺激にも注意する必要があります。
肌をこする、ひっかくなどの刺激は、メラノサイトを活性化させる要因になります。
毎日のスキンケアで肌をしっかり保湿し、 肌トラブルを予防しましょう。
肌に合わない化粧品の使用を避けることも重要です。
丁寧なスキンケア
肌の乾燥はバリア機能を低下させて、さまざまな刺激に対する抵抗力を弱くします。
保湿に気をつけて肌の潤いを守ることでバリア機能が強化され、メラノサイトへの刺激を減らす効果があります。
また肌は保湿されることでターンオーバーが正常化して、できたメラニンを排出するはたらきが高まります。
クレンジングや洗顔で角質をはがしすぎることや、マッサージで肌を強くこするのもメラノサイトを刺激する原因になります。
丁寧なスキンケアで肌への余計な刺激を避け、ターンオーバーを正常化することがメラニンの過剰生産や蓄積を防ぎます。
メラノサイトを抑制する成分は?
メラノサイトがメラニンを生産する引き金になるのが「チロシナーゼ」という酵素です。
美白化粧品にはこのチロシナーゼの作用を抑制して、メラニン生産を抑制する成分が含まれています。
チロシナーゼ阻害作用のある成分の代表的なものが「ハイドロキノン」です。
またハイドロキノンはメラノサイトを抑制するだけでなく、できてしまったメラニンを還元して漂白する作用もあります。
ハイドロキノンは美容クリニックでもっともよく使用される美白成分の1つですが、配合率2%までの美白化粧品が市販されています。
ハイドロキノンは美白効果の高い成分ですが、使用中は一時的に肌のバリア機能が低下するので保湿や紫外線対策に注意する必要があります。
チロシナーゼを阻害する作用のある美白成分にはハイドロキノンの他に、ビタミンC誘導体、アルブチン、コウジ酸、4MSKなど、いろいろな成分があります。
また食品から摂取するビタミンCにも、チロシナーゼのはたらきを抑制する作用があります。
美白成分は、身体の内側から摂取することも大切です。
- メラノサイトとは表皮のいちばん下にあるメラニン色素を作る細胞のこと
- メラノサイトは紫外線の刺激によって活性して大量のメラニンを作る
- 紫外線以外にさまざまな刺激がメラノサイトを活性化する
- 肌のターンオーバーが乱れると、作られたメラニンが蓄積してシミになる
- メラノサイトの活性を抑制するには、肌を刺激から守る丁寧なスキンケアが必要
- ハイドロキノンはメラノサイトの活動を抑制し、メラニンを漂白する効果がある
