美容のプロたちに根強い人気を誇る美白成分に、コウジ酸があります。
塩麹を使った料理がブームになりましたが、その麹にふくまれるコウジ酸に美白効果があり、様々な化粧品に配合されているのです。
その効果の高さからリピーターが多いと言われるコウジ酸とはどんな成分なのか、そして美容効果について紹介します。
気になる副作用の有無についても、しっかりチェックしてください。
美白成分、コウジ酸の正体とは
日本で発見された美容成分
コウジ酸の研究は100年以上も前の時代、お酒を造っている職人・杜氏(とうじ)の手が白く美しい点に注目したことから始められました。
その秘密は、お酒のほか味噌や豆腐、醤油などを作るときに用いられる麹から発見された「コウジ酸」にあったのです。
1907年、コウジ酸は日本で発見され、藪田貞治郎という農芸化学者が、コウジ酸発見に関する論文を発表しました。
その後コウジ酸の美白作用について研究が重ねられ、1975年には三省製薬が、コウジ酸がメラニン色素生成を抑制する成分・チロシナーゼを抑制するのを発見します。
こうして1988年、厚生労働省により医薬部外品の美白成分としての認可を受け、美白化粧品に利用されるようになりました。
皮膚科では、ハイドロキノンを使用できない場合などにコウジ酸が処方されることがあり、漢方としても扱われてきた歴史があります。
<関連記事>:シミ・美白のクレンジング、注意点は?
敏感肌の方の手作り化粧品にも
敏感肌では、化学成分配合の化粧品を使うとダメージを受けてしまうことがあります。
そんな敏感肌の方が美白化粧品を手作りするときの成分として、コウジ酸が利用されています。
シミだけでなく、シワやニキビなど、幅広い肌トラブルへの効果が期待できるのが魅力です。
手作りの化粧品は傷みやすいので、保管方法には十分注視してください。
コウジ酸の美容効果を教えて!
メラニン生成を抑えてシミを予防
コウジ酸の美容効果で最も注目されるのは、メラニン生成を抑制することによるシミ予防です。
杜氏や豆腐屋さんの手が白く美しいのはズバリ、この効果によるものと考えられます。
紫外線や活性酸素、摩擦などのダメージを受けた肌では、バリア機能としてメラニン色素が作られます。
メラニンの量がそれほど多くなく、肌の新陳代謝でしっかり排出できていれば問題ありませんが、紫外線ダメージが大きかったり新陳代謝が滞ると、メラニン色素が沈着してシミになります。
コウジ酸は、メラニン合成に関わる酵素・チロシナーゼに働きかけ、チロシナーゼの原動力である銅イオンを取り去ります。
こうしてチロシナーゼはメラニン合成を促すことがなくなり、シミの原因を抑えられるという仕組みです。
例えばこんな実験結果があります。チロシナーゼを多く含んでいるマッシュルームにチロシンを振りかけると、チロシンとチロシナーゼが反応を起こしてメラニンが発生し、マッシュルームは黒くなります。
しかしあらかじめマッシュルームにコウジ酸を塗布しておくと、チロシンを振りかけても反応がブロックされてメラニンは作られず、マッシュルームは白いままだそうです。
糖化による黄ぐすみを防ぐ
肌トラブルのひとつとして近年注目されている「糖化」とは、タンパク質と糖が結びつく現象のことです。
糖化の際に作られる褐色の物質・エイジスが加齢により蓄積すると、コラーゲンが焦げ付いた状態になり、肌に黄色いくすみを引き起こします。
コウジ酸には抗糖化作用があることから、糖化現象そのものを減らし、黄ぐすみの発生を抑えてくれます。
<関連記事>:シミ治療薬、トランサミンの効果と副作用
抗酸化・抗炎症による肌トラブル予防
コウジ酸には、抗酸化作用、抗炎症作用が認められます。
肌にダメージを与えシミやしわ、たるみの原因となる活性酸素を抑制し、ニキビなどの炎症の悪化を防ぐことで、幅広い肌トラブルのサポートを期待できます。
体の中からの美白には甘酒
美白では、生活習慣の改善など体の中からの働きかけも大切ですが、そんなときに選びたいのが麹甘酒です。
麹甘酒に含まれるコウジ酸が体の中から美白を促し、さらに免疫力アップや便秘解消、疲労回復といった効果を期待できます。
コウジ酸に副作用はないの?
安全性が確認されている
厚生労働省から医薬部外品の成分としていったん認可を受けたコウジ酸ですが、その後の動物実験で、分解されずに肝臓まで届くことでガンを引き起こす可能性があることが判明したことで、コウジ酸を含む化粧品の販売が控えられた時期がありました。
しかし2005年に、このような問題はないことが確認され、現代においてはコウジ酸には注意すべき副作用はないと認識されています。
漢方にも使用されること、麹を扱う職人たちの手に直接触れ、美しさを保ってきたことからも、副作用リスクの低さが伺えます。
化粧品に含まれるのはごく微量であり、問題はないと考えられているのです。
<関連記事>:アンチエイジング成分、コエンザイムQ10に美白効果はあるの?
美白成分として重用される理由
美白成分のなかには、ハイドロキノンのように濃度を間違えると白抜けが起こるものや、血栓ができる方には使用できないトラネキサム酸など、ある程度の副作用リスクを伴うものがあります。
コウジ酸にはこのようなリスクは確認されておらず、より安心して使用でき、美白効果を引き出せると考えられています。
また肌への浸透力の高さは、コウジ酸を美容成分として扱う際の大きなメリットでしょう。
コウジ酸の分子構造は細かく、塗布することでグングン肌に吸収されていきます。
メラノサイトまで成分が届き、よりダイレクトで強い美容効果を期待できるのです。
肌代謝を促すことで乾燥を招きやすい美白成分がありますが、コウジ酸は、保水力の高いヒアルロン酸との相性が抜群です。
ヒアルロン酸とコウジ酸を同時配合する美白化粧品なら、美白に欠かせない保湿も万全です。
他の美白成分に比べ、作用が穏やかでまんべんない点も、美白成分として用いやすい理由の一つです。
コウジ酸も含め、色々な美白成分を使った化粧品を比較したい・・・という時に便利なのが、インターネットの口コミサイトです。
配合される美白・美容成分をじっくり比較しながら、自分に合った商品を探すことができます。
- 長い研究のすえ美白成分として認可された
- チロシナーゼに作用してメラニンの発生を抑える
- 糖化を抑えて黄ぐすみを予防
- 肌トラブルに効果的な抗酸化、抗炎症作用も
- 重篤な副作用はないことが確認されている
- 安全性や浸透力の高さといったメリットがある
