頬にできる大きなシミ、それは肝斑かもしれません。
最近、肝斑に効くとして話題になっているのが、内服薬の「トランシーノ」です。
トランシーノの効果や服用するときの注意点についてご紹介します。
目次
トランシーノって何?
トランシーノはシミの1種である肝斑に効果がある内服薬で、主成分はトラネキサム酸です。
8週間の服用で肝斑が薄くなる効果が期待できます。
トランシーノとは?
トランシーノは第一三共製薬が販売している内服薬で、肝斑を薄くする効果が認められています。
処方箋なしに購入できるOTC医薬品ですが、購入するときに薬剤師からの説明が義務づけられている第一類医薬品に分類されます。
第一三共製薬では内服薬の他に、トランシーノシリーズとして洗顔料、化粧水、美容液、乳液なども発売しています。
<関連サイト>:トランシーノ[第一三共ヘルスケア]
どんな成分が含まれている?
トランシーノは肝斑の改善にだけ焦点をしぼった製品で、主成分はトラネキサム酸です。
トラネキサム酸は以前から止血剤・抗炎症剤として抜歯や外科手術などに広く使用されている薬品で、人工合成されたアミノ酸の1種です。
トラネキサム酸の作用の特徴は、出血や炎症をおこすプラスミンという酵素のはたらきを阻害することで、抗プラスミン剤と呼ばれています。
この抗プラスミン作用を肝斑の改善に用いたのがトランシーノです。
どれくらいで効果があるの?
現在販売されているのは、1日3回の服用が必要だったトランシーノを1日2回の服用にしたトランシーノⅡです。
トランシーノⅡは1日2回、8週間の服用が1クール(一応の治療期間)とされています。
第一三共製薬は、トランシーノⅡの8週間の服用で、『明らかな改善40.0%、改善22.6%、やや改善22.6%、不変14.8%』の効果があったと報告しています。
これは肝斑のある女性115人に対する服用試験の結果です。
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トランシーノの効果は?
肝斑は紫外線によってできるシミ(老人性色素斑)とは違い、おもに女性ホルモンのバランス変化がきっかけで生じるシミで、20代後半~40代の女性に特有の症状です。
トランシーノはこの肝斑にどのような効果があるのでしょうか。
どうして肝斑が消えるの?
肝斑のシミもメラノサイトで作られるメラニン色素で、この点はふつうのシミ(老人性色素斑)と同じです。
肝斑とふつうシミの違いは、ふつうのシミには効果があるチロシナーゼ阻害作用だけでは肝斑の発生を抑えられないということです。
紫外線の影響で活性化されるメラニン生産は、メラニン色素の合成に必要なチロシナーゼという酵素の働きを阻害することで抑制されます。
しかし、女性ホルモンの影響で活性化されるメラニン生産を抑制するには、プラスミンという酵素のはたらきを阻害することが必要だということが分ってきました。
止血剤として利用されていたトラネキサム酸の抗プラスミン作用が、肝斑の発生も抑制することが明らかになって作られたのがトランシーノです。
肝斑以外に効果はある?
「トランシーノⅡ」には主成分のトラネキサム酸の他にL-システインとビタミンCが配合されています。
第一三共製薬が効果として表示しているのは肝斑の改善だけで、肝斑以外のシミには効果が期待できません。
トランシーノには、同じシリーズの「トランシーノホワイトC」という内服薬(第三類医薬品)もあります。
これにはトラネキサム酸は配合されておらず、L-システイン240mgとビタミンC1000mgが配合されています。
肝斑への効果ではなく、シミ、そばかす、炎症後色素沈着の緩和が表示されています。
そのシミは本当に肝斑?
肝斑は一般的なシミ(老人性色素班)とまぎらわしいため、トランシーノの服用前によく確認しておく必要があります。
肝斑の特徴は次のような点です。
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・おもに頬骨の周囲や目尻の下に左右対称にできる
・輪郭がはっきりしないモヤッと広がるシミで、大きさや形もほぼ左右同じ
・30代~40代の女性に多く、高齢になると薄くなる
・女性ホルモンに関係していて、生理前に濃くなることが多い
肝斑だと思っていたのがふつうシミだった場合は、トランシーノを服用しても効果はありません。
反対にふつうのシミだと思っていたのが肝斑だったという場合もあるので、よく確認する必要があります。
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肝斑の予防はできる?
トランシーノは症状改善のために、8週間という期間を限って服用する医薬品です。
予防のために長期間服用を続けることはできません。
トランシーノはあくまでも肝斑の改善を目的とした医薬品で、症状があるときに飲み、症状が改善されれば服用をやめなければいけません。
服用をやめてからまた肝斑がでたときは、前回の服用終了後から2カ月以上たっていれば、また服用を開始することができます。
トランシーノに副作用はある?
トランシーノは安全性の高い医薬品ですが、まれに副作用が出ることがあります。
トランシーノによる副作用
トランシーノを服用する際は、下記のような副作用が出ることがあるため注意してください。
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・皮膚に現れる副作用:発疹・発火・かゆみ
・消化器系の副作用:吐き気・嘔吐・腹痛・食欲不振・胸やけ
・その他の副作用:動悸・頭痛・めまいなど
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トランシーノ服用時の注意点
トランシーノの主成分であるトラネキサム酸は止血作用がある薬品です。
脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症のある人、血栓症を起こすおそれのある人は服用前に医師や薬剤師に相談する必要があります。
トランシーノにはトラネキサム酸の1日の最大服用量にあたる750mgが配合されているので、トラネキサム酸が含まれている風邪薬などを同時に服用することができません。
ただし、トラネキサム酸を配合した化粧品は医薬部外品であっても外用薬なので、内服薬であるトランシーノとの併用は問題ありません。
副作用が現れたときは?
トランシーノを服用して副作用と思われる症状がでたときは、服用を中止してようすを見ましょう。
症状が重いときは医師に相談してください。
- トランシーノはトラネキサム酸が配合された、肝斑に効果がある医薬品
- トラネキサム酸はメラノサイトを活性化させるプラスミンという酵素を阻害する
- トランシーノは1日2回、8週間の服用で肝斑を改善する効果が期待できる
- トランシーノは肝斑以外のシミには効果がなく、肝斑の予防薬としては使用できない
- トランシーノは安全性の高い薬ですが、副作用が出る場合がある
