かゆみや湿疹といったアトピー性皮膚炎そのものの症状も辛いものですが、アトピー肌に適さない美白ケアを行うと状態が悪化してしまうということも大きな悩みの1つですね。
しかし、アトピー肌の人が美白ケアを行えないわけではありません。
大切なのは肌に合ったケアを行うことです。
では、アトピー肌に適した美白対策、NGなケアとはどのようなものなのでしょうか。
目次
そもそも、アトピー肌とは?
「アトピー性皮膚炎」や「アトピー肌」といった言葉はよく耳にしますが、そもそもこれらはどのような症状なのでしょうか。
症状の特徴や原因について見ていきましょう。
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が出る皮膚炎のことで、良くなったり悪くなったりを繰り返すという特徴があります。
アトピー性皮膚炎を発症しやすくなる条件を、「アトピー素因」といいます。
アトピー素因には、本人や家族がアレルギー性の病気を持っていることや、アレルギーと深く関わっている「IgE抗体」が体内で作られやすいという体質であることなどが挙げられます。
つまり、アレルギーを起こしやすい体質の人はアトピー性皮膚炎にもなりやすい素因を持つと考えてよいでしょう。
しかしアトピー性皮膚炎は、アレルギー症状を引き起こす物質(アレルゲン)だけが原因で起こるわけではありません。
肌への刺激やバリア機能の低下、その時の体調や心の状態など、複数の要因が影響しあって現れる症状なのです。
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大人と子供で症状は違うの?
アトピー性皮膚炎は乳幼児のころに出始めることが多いのですが、成長に従って改善することも多く、大人になると出なくなったという人もたくさんいます。
しかし大人になってから発症した人や、大人になっても子供のころからの症状が続いている人、一度治ったが再発したという人は治りにくい傾向があると言われています。
なお、乳児で2か月以上、幼児以降で6か月以上症状が続く場合に、アトピー性皮膚炎と診断されます。
アトピー性皮膚炎の症状は、年齢によって変化するケースも多く見られます。
乳児期では頭や顔に出やすいのですが、幼児期にかけて体幹部分や脚にも広がっていき、特に関節部分で皮膚の乾燥が気になりやすくなります。
また、思春期から大人にかけての時期には、上半身に湿疹ができやすくなると言われています。
アトピー肌の色素沈着、消す方法はある?
アトピー性皮膚炎を起こしやすいアトピー肌は、乾燥や湿疹とともに色素沈着も起こりやすい状態になっています。
では、アトピー肌の色素沈着はなぜ出来るのでしょうか。また、色素沈着を消す方法はあるのでしょうか。
アトピー肌の色素沈着、なぜ出来るの?
人の体を覆う皮膚は、紫外線を浴びたり、合わない化粧品を使うなどで刺激を受けると、体を守るために黒色の色素であるメラニンを生成します。
メラニンは肌のターンオーバーによって体の外に排出されるため、ケガや火傷といった一時的な刺激によって生成されたメラニンは、通常であれば長く肌に留まることはありません。
しかし、アトピー肌の場合は皮膚炎によるかゆみがあるため、どうしても掻いたり擦ったりしてしまいがちです。
皮膚が慢性的に刺激を受けており、メラニンが常に生成されているというわけです。
さらに、アトピー肌は皮脂や水分も少ないので、皮膚のバリア機能も低下しがちです。
肌のターンオーバーも上手くいかないのでメラニンが定着しやすくなり、くすみや黒ずみといった色素沈着が起こるのです。
アトピーによる色素沈着を消す方法は?
アトピー性皮膚炎によって出来た色素沈着は、数日という短い期間では消すことができません。
しかし、体の内外から皮膚の状態を健康に保ち、肌のターンオーバーを改善することで、徐々に色素沈着を薄くしていくことは可能です。
アトピーが悪化しないよう、刺激の少ない敏感肌用の美白化粧水を使用して、毎日丁寧にスキンケアをしましょう。
栄養バランスのよい食事を心がけたりするなど、肌の刺激になりにくい美白ケアを行う事が大切です。
またアトピー性皮膚炎による色素沈着は、皮膚科で治療することも可能です。
皮膚科では、抗アレルギー剤の内服、ステロイド外用薬などを使用した皮膚炎のコントロールを行います。
美白効果のある薬剤の内服、紫外線や摩擦の予防指導といった色素沈着の治療を通して、ゆっくり症状を改善していきます。
これらの治療はすべて保険が適用されます。
改善までの期間を短縮したい場合は、美白効果のある外用薬を使用したりレーザー治療を行ったりすることもできます。
ただし、これらの治療は保険適用外ですので注意しましょう。
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こんな美白ケアはNG!
アトピー肌のスキンケアでは、肌の刺激になるような成分を避けることが重要になります。
普通肌の人向けに調製された美白化粧品をアトピー肌の人が使用すると、化粧品に含まれる美白成分が刺激物質となり、かゆみや湿疹を引き起こす原因になってしまうので要注意です。
アトピー肌向けのものや敏感肌、乾燥肌向けのものなど、刺激の少ない化粧品を選ぶようにしましょう。
また、ピーリングにより肌の代謝を促す美白法もありますが、肌のバリア機能が低下しているアトピー肌の人にとっては刺激が強く、症状が悪化してしまう恐れがあります。
アトピー肌の人に限らず、肌が弱い人は避けた方がよいでしょう。
アトピー肌の美白対策、ポイントは?
色素沈着が起こりやすく、治りにくい肌質のアトピー肌ですが、どのような点に気を付けて美白対策を行うとよいのでしょうか。
ポイントを3つご紹介します。
まずは肌質改善から
アトピー肌の場合、かゆみから皮膚を掻いたり擦ったりしてしまうことで色素が沈着し、黒ずみやくすみの原因となってしまいます。
色素沈着を防ぎ美しく白い肌を目指すには、肌質の改善が最重要課題となります。
大人のアトピー性皮膚炎は治療が難しいと言われていますが、肌に優しいスキンケア用品を使用してしっかり保湿したり、皮膚科を受診したりするなどして、肌のコンディションを整えましょう。
肌の状態を健康に保つことでアトピー性皮膚炎の発生を抑えることができますし、ターンオーバーによるメラニンの排出も機能するようになります。
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肌への刺激を避ける
一般的な美白化粧品に含まれる美白成分は、アトピー肌の人にとっては刺激が強く、症状が悪化する原因にもなります。
このように強い成分が含まれる化粧品は避け、アトピー肌向けや敏感肌向けのものを使用するようにしましょう。
また、化粧品以外の刺激にも要注意です。
物理的な刺激も色素沈着やアトピーの症状の悪化につながるので、タオルでこすったり熱いお湯で顔を洗ったりすることも避けるようにしましょう。
紫外線対策をしっかりする
健康な状態の肌でも、紫外線は強い刺激になります。
アトピー肌の場合、紫外線を浴びることで症状自体が悪化しやすい上に、掻きむしって出来た色素沈着が紫外線によって濃くなることも少なくありません。
肌が弱くなっていると紫外線によるダメージを受けやすくなりますので、より一層しっかりと対策をする必要があるのです。
紫外線対策というと日焼け止めを思い浮かべる人も多いと思いますが、日焼け止めなら何でもよいというわけではありません。
刺激が強いものもあるので注意が必要です。
低刺激で保湿効果の高い日焼け止めを使用するようにしましょう。
また、日傘や帽子などで紫外線を浴びないようにすることも大切です。
かゆみや湿疹といった症状だけでも辛いアトピー肌ですが、色素沈着を防ぐためにできることもあります。
肌の状態を体の内外から改善して、肌への刺激や紫外線の予防を徹底し、くすみや黒ずみのない美しく白い肌を手に入れましょう!
- かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れるアトピー肌には適切な美白ケアが必要
- 湿疹を掻きむしることでメラニンが生成し、色素沈着が起こりやすくなる
- 敏感肌向け化粧品の使用、食生活の見直し、皮膚科の受診で肌質を改善する
- 一般的な美白化粧品やピーリングはアトピー肌には刺激が強いので要注意
- 接触や紫外線による肌への刺激を防ぐことにより、色素沈着を予防できる
